本日のこどもの本・2010年前半

注目の新刊やフェア、気になる本、児童書にまつわる話を、エナミを中心にメンバーが、つれづれ綴るコーナーです。

1月9日(土) あけまして、絵本屋さん大賞

あけましておめでとうございます。ことしもよろしくお願いいたします。 年末に、MOEにて恒例の絵本屋さん大賞が発表されました。昨年は、本屋さんでは『100かいだてのいえ』が引き続き売れる中、年末に『ちか100かいだてのいえ』も出て、二冊組のプレゼントセットがよく売れていたように思います。絵本にこだわらず言えば、テレビアニメの効果で、『かいだんレストラン』のシリーズも、すごく売れていました。
ただ、大ヒットしたよね!と誰もがうなずけるような児童書はなかったように思います。
そんな中での絵本屋さん大賞。「??」と思う絵本もありましたが、『イソップのおはなし』や、『あ』『むしむしでんしゃ』、『ひみつのカレーライス』が、気に入っている絵本でランクインしていて嬉しかったです。『ぼくのかえりみち』もたのしい絵本、以前からある絵本という印象があって、昨年の新刊とは思ってませんでした。作家のひがしちからさんは新人賞も同時受賞されてました。
私にとって、昨年第一位は『ミリーのすてきなぼうし』だったので、入賞しておらず、残念!
いろいろ思いを馳せながら、年末年始楽しんで読みました。
是非手にとって観てみてください

1月10日(日) 新刊・『たのしいおおきい ことば絵本』

反対ことばの絵本なのですが、五味太郎さん独特の視点で描かれているのがおもしろいです。たとえば、大きな机で、ご馳走を食べるおんなのこ、向かいには空っぽのお皿を目の前にしたおとこのこ。さてこれは、どんな反対ことばをあらわしているんでしょう?おんなのこにとってはごちそうは「ちかい」けど、おとこのこにとっては「とおい」ということをあらわしているんだそうです。「えーそこ!?」という視点です。そういえば小学校の頃、五味太郎さんが大好きだったなーと、思い出しました。こういうブラックなユーモアもかけるところが好きだったんです。
(『たのしいおおきい ことば絵本』五味太郎・作 ひさかたチャイルド)

1月12日(火) 新刊・『あぶくたった』

あーぶくたった煮え立った、煮えたかどうだか食べてみよ♪幼い頃、よく遊んだ遊びの歌が、さいとうしのぶさんの画で絵本になりました。家族みんなで、おぞうに(おしるこだったかな?)を作っています。幼い頃歌っていたときは、歌の意味を考えたことがなかったのですが、そうか、これは煮物をしている歌だったんですね。皆で、煮えたかな?どうかな?ってお鍋を覗き込んだり、味見をしたり。改めて歌を振り返る機会になりました。子どもたちにとっても、そうなんじゃないかな?
(『あぶくたった』さいとうしのぶ・作 ひさかたチャイルド)

1月19日(火) 新刊・『ぼくもだっこ』

ぐりぐり目玉の男の子、まもるちゃんの顔がメッチャかわいい!弟ができたまもるちゃん、僕も抱っこして欲しいけど、お母さんは弟にかかりっきり・・・。まもるちゃんが外に出ると、森の動物達が「だっこしてー」って言ってきます・・。お兄ちゃんの気持ちが伝わります。ぐりぐりの目に涙がいっぱいで、泣いているところもああかわいい。
(『ぼくもだっこ』西條 剛央・作 大島 妙子・絵 講談社)

1月19日(火) 新刊・『うんこ!』

直球の大反則技、そんな絵本が出てしまいました。表紙はもちろん、うんこちゃんの絵です。ああ!いいの?いいの?見てるだけで鼻がムズムズしてきます。でも、お話は、「どんなものでも、役に立つんだよ」っていう、とてもまっとうな、そして、「そうか私も誰かの役に立てるかも」とも思わせてくれる、教育的な物語です。でも・・・うんこ!のインパクトに、もう!やられました。
(『うんこ! 』サトシン・作  西村 敏雄・絵 文溪堂)

1月19日(火) 新刊・『ふゆのゆうがた』

小さな頃(今も?)、窓に息をハーッと吹きかけて、指で絵を描いたこと、ありますよね。そんな誰もが持つ経験が絵本になりました。表紙は窓に描いた三日月の絵(エンボス加工になってます)から、女の子が顔をのぞかせている絵。表紙は暗めの絵ですが、中のページの町並みの絵が鮮やかで素敵で、とても気に入って、本屋さんでしばらく見入ってしまいました。開いて部屋に飾っておきたいくらいです。是非見てみてください。 (『ふゆのゆうがた』 ホルヘ・ルハン・作 マンダナ・サダト・絵  谷川 俊太郎・訳 講談社)

1月19日(火) 原画展・ハンス・フィッシャーの世界展

「こねこのぴっち」や「ブレーメンのおんがくたい」の絵本作家、ハンスフィッシャーの原画展が、伊丹市立美術館で行われています。3月7日までです。
チラシを見ただけで「かーわーいー!」と声が出てしまいました。春色のチラシでとてもすてきです。是非行きたい展覧会です。
くわしくは→伊丹市立美術館

1月27日(水) 新刊・Pooka+ 立本倫子 colobockle apartment

Pooka+、今度の特集は立本倫子さんです。切り絵のような絵風で、おしゃれで素敵。絵本に限らず、雑貨や映像、工作や人形劇など、いろんな視点から素敵なことを生み出している立本さん、この本も、楽しさがたくさんつまっています。
(『Pooka+ 立本倫子 colobockle apartment』学習研究社)

1月28日(木) 新刊・『まくらのせんにん そこのあなたの巻』

かがくいひろしさんの新刊が出ました!
まくらのせんにんシリーズです。せんにんの顔がちょっと怖い気がする(キモかわ?)のですが、今回の本にはあっと驚く読者参加型のしかけが!…といってもクイズや歌のような今までにある展開ではなく、「ほんとうに読者の力がないと終わらない物語」なのです。絵本の中から、かがくいさんにふいに話しかけられたような、驚きとうれしさを感じました。よみきかせをしても盛り上がりそう。
また、雑誌「illustration」の最新刊(no.182)では、かがくいひろしさんの大特集が掲載されています。最期に制作されていた幻の作品も載っています。
追悼フェアをされている本屋さんもありますので、是非この機会に、かがくいさんの作品にどっぷり浸かってください。 (『まくらのせんにん そこのあなたの巻』かがくいひろし・作 佼成出版社/『illustration』no.182 玄光社)

2月2日(火) 新刊・『せかいのこんにちは みんなであいさつ』

いろんな国のあいさつがひとめでわかる絵本です。
日本語に始まり、英語、中国語などを話す、12人の世界のこどもたちが主人公。こんにちは、おやすみなさい、ありがとう・・・使ってみたくなることばがたくさんです。
(『せかいのこんにちは みんなであいさつ』新井洋行・作 幻冬社)

3月5日(土) 新刊・『ことりようちえんのいちねんかん』『てのひら』

あれあれ、久しぶりの更新になってしまいました。2月はあまり目をひく新刊が出なかった気が…と、言い訳をしつつ…。
もうすぐ、入園入学の季節。ちょっぴり不安で、ドキドキワクワク、新しい生活は一体どんなだろう?そんな気分にぴったりな絵本の新刊をみつけました。
『ことりようちえんのいちねんかん』は、題名の通り、幼稚園での一年間の生活がよくわかる一冊になっています。これから通う幼稚園の生活や雰囲気がわかるので、不安も軽くなるかなと思います。入園のプレゼントにもいいと思います。
『てのひら』は、なかなか幼稚園での生活に馴染めない女の子のお話。確かに、ほかの子たちと一緒に生活するのに慣れることは、引っ込み思案の子にとっては大変なことなのだと思います。心配したお母さんのとる行動が、素敵です。
新刊ではありませんが、『ゆっくりにっこり』は、新一年生をはげます絵本です。なぞなぞのような展開で、引越しについて語られますが、最後は、みんなも幼稚園から小学校へ、「ゆっくりにっこり」お引越ししようね、と締めくくられます。新一年生のよみきかせで読んでみたい一冊です。
(『ことりようちえんのいちねんかん』 たかてらかよ・作 鴨下潤・絵 講談社
『てのひら』瀧村 有子・作 藤田 ひおこ・絵 PHP研究所
『ゆっくりにっこり』木島始・作 荒井良二・絵 偕成社 1995年)

3月15日(月) 新刊・『だいたいいくつ? 数えてみよう・はかってみよう』

表紙には、たくさんのアヒルのゴム人形がギッシリ。さて、一体いくるあるのでしょうか?
ページをめくると、アヒルの「だいたい」の数え方が載っています。ものの数え方にもコツや方法があるんですね、知らなかった!大人の私もなるほど!と思ってしまいました。
何でもキッチリ図ることが大切だと思ってしまいがち(それができなくて嫌になっちゃうことも)ですが、「だいたいでいいんだよ」ということばに、ちょっとほっとできる絵本です。
(『だいたいいくつ? 数えてみよう・はかってみよう』ブルース・ゴールドストーン・作 まつむらゆりこ・訳 福音館書店)

3月15日(月) 復刊・『すてきにへんなお家』

福音館書店の、たくさんのふしぎシリーズが、300号を数えることになったそうです。すごいなあー!300号記念で、過去に反響のあった本が復刊されています。『はしをわたらずはしわたれ』や、柳生弦一郎さんの『100まで生きる?』も気になりますが、中でも目を引くのが、この本。世界の家や、空想上の家など、いろんな家を見ることができます。おうちの絵本って、なんだかとてもわくわくしませんか?
(『すてきにへんなお家』タイガー立石・作 福音館書店)

3月17日(水) 新刊・『わにわにのおおけが』

わにわにシリーズの新刊!工作をしているわにわにが、けがをしてしまいます。はさみで自分の手を切ってしまったときのうおお!っていう顔、かわいそうなのに笑ってしまう。これから先、自分がけが(わにわにみたいに大怪我じゃなくて、ちょっとしたけが)をしてしまったときも、わにわにのことを思い出して、少し笑ってしまうんだろうなと思います。
そして、おおけがをしてまで、わにわにが作りたかったものとは・・・思わずふきだしてしまいました。
本屋さんで表紙をみるたびに内容を思い出して笑ってしまいます。是非見てみてください。
(『わにわにのおおけが』小風さち・文 山口マオ・絵 福音館書店)

3月24日(水) イベント・なにわ人形芝居フェスティバル

毎年恒例のイベント、なにわ人形芝居フェスティバルが、4月4日に開催されるそうです。今年も内容は盛りだくさん!今年は巡回バスも出るくらい、会場が広がっています。どの人形劇を見ようか、たくさんあるのでちゃんと計画していかないと!と思っています。
くわしくはこちらへ

4月9日(金) 新刊・『どっちのてにはいってるか?』

どっちかな?の遊びの、絵本バージョン。右手と左手、どっちの手にお菓子やどんぐりがはいっているか、あってこできる絵本です。おはなし会で読むと、楽しんでリラックスしてもらえそうな本。同時刊行『どっちにかくれてる?』も、楽しいです。
(『どっちのてにはいってるか?』新井洋行・作 偕成社)

4月9日(金) 新刊・『ころんちゃん』

赤ちゃんの絵が、なんともかわいいです。ぽにゃぽにゃの赤ちゃんが、ころころころんと気持ちよさそうに寝返りをうつようすが描かれています。大人の方が楽しんでしまいそうな絵本です。ああかわいい。
(『ころんちゃん』 松成真理子・作 アリス館)

4月12日(金) 新刊・『フラワー・フェアリーズ 魔法のとびら』

シシリー・メアリー・パーカーの描く、美しい妖精のしかけ絵本です。とびらを開くと、妖精が・・・いなくなるんです。しかけ絵本といえば、これでもかというばかりに飛び出してくるのが常ですが、この絵本では、さっきまでそこに「いた」はずの妖精が、消えてしまう。確かにそこにいた余韻を残して。最後には妖精せいぞろいの絵がバーンと飛び出してくるのですが、最初の方の消えてしまうしかけが、ひねりがあっておもしろいなあと思いました。パーカーの絵は素晴らしいのですが、今までの絵を寄せ集めて作った感の否めない構成が、ちょっと残念です。
(『フラワー・フェアリーズ 魔法のとびら』 シシリー・メアリー・バーカー・絵 みま しょうこ・訳 大日本絵画)

6月15日(火) 復刊・『せかいいち おいしいスープ』

約2ヶ月ぶりの更新になってしまいました。この2ヶ月、いろいろあったりなかったり・・・また、ぼちぼち更新をしていきますので、よろしくお願いします。
三人の兵隊が、ある村で「石のスープ」を作ると言います。石だけでスープが作れるのでしょうか・・?
書店で見つけたとき、「あれ?どこかで読んだことがある!懐かしい!」と感じました。書店の方に聞いてみると、復刊だそうです。昔読んだのかなあ。とてもユーモアのあるお話です。素話にしてもいいかもしれません。がらがらどんでおなじみの、マーシャブラウンが、民話を元に描いた絵本です。
(『せかいいち おいしいスープ』 マーシャ・ブラウン・作 こみや ゆう・訳 岩波書店)

6月15日(火) 新刊・『てんぐのきのかくれが』

隠れ家を作ることにした、男の子が森で出会ったのは、天狗!たくさんの妖怪が出てきて、皆で大きな隠れ家を作ります・・。大きな隠れ家は、もう「隠れ」家ではありません、友達も妖怪も皆呼んで、楽しく隠れ家で遊ぼう!
作絵の青山さんは、キャラクターや人物はちょっと不得意なのかな?という気がしますが、建築家という職業だけあって、静物の絵、殊に家の絵はにすごく素敵です。今回の隠れ家も圧巻。妖怪の絵も怖くておもしろくて、素敵な絵本です。

(『てんぐのきのかくれが』 青山邦彦・作 教育画劇)

6月18日(金) イベント・「紹介と解説 2009年に出版された子どもの本」

大阪府立中央図書館で、子どもの本の勉強会があります。
日時:7/8(木)・7/10(土)・7/11(日)各日10:30〜16:00(内容は三日間とも同じ)
会場:大阪府立中央図書館 2階大会議室
定員:各回80名
申込: http://www.library.pref.osaka.jp/central/jibunken/event2.html
自然科学系も含めて一堂に集められた現物を、自由に手に取れるらしいです。時間が長いので睡魔に負けないか心配ですが、私も行ってみようと思っています。

6月18日(金) 新刊・『カミナリこぞうがふってきた』

ある日雨宿りをしていると、空からカミナリこぞうがふってきた!こぞうと言っても、すごーく大きな赤ちゃんで、しかも僕にしか見えないみたい・・・。
絵の力がすごくある作品です。リアルで、色鮮やか。表紙も爽快!雷様の絵も、こわい!是非見てみてください。
(『カミナリこぞうがふってきた』シゲリ・カツヒコ・作 ポプラ社)

6月25日(金) 新刊・『ぼくのおふろ』

昨年「しごとば」で大ブレイクした、鈴木のりたけさんの新刊です。いろんな「夢のおふろ」が、妙にリアルに描かれていて、オモシロイ。おふろっていうかプールみたいなのもあったり・・・。色々想像しながらお風呂に入っていたら、のぼせてしまいそう。楽しい絵本です。
(『ぼくのおふろ』鈴木のりたけ・作絵 PHP研究所)

6月28日(月) 新刊・『あおいくも』

『すてきな三にんぐみ』のトミー=ウンゲラーの最新刊です。心の優しい小さなあおいくものお話。平和を祈る気持ちが伝わる絵本です。是非読んでみてください。
(『あおいくも』トミー=ウンゲラー・作絵 今江祥智・訳 ブロンズ新社)