本日のこどもの本・2009年4月

注目の新刊やフェア、気になる本、児童書にまつわる話を、エナミを中心にメンバーが、つれづれ綴るコーナーです。

4月1日(水) 新刊・『ダンスダンスタッタッタ』

あかちゃん絵本です。おんなのこが、動物達と楽しいダンスを踊るという内容。イラストが今風でかわいいです。
読むとダンスのリズムに心もはずみます。よみきかせにもいいと思います。
(『ダンスダンスタッタッタ』かどのえいこ・作 ボコヤマクリタ・絵 ポプラ社 2009年)

4月2日(木) 新刊・『ひみつのカレーライス』

井上荒野さんといえば、荒野をアレノと読むセンスのいいお名前と、『あなたがうまれたひ』のすてきな訳の印象があるのですが、一般的には直木賞作家さんなのですね。この本が初の創作絵本だそうです。
絵は、『とまとさん』の田中清代さんです。ちょっぴりレトロな感じのイラスト。
カレーを食べていたら、カレーの種がでてきて、その種を植えてみると、カレーの木が・・・!
カレーライス美味しそう〜。最後のオチも好きです。こどもたちはカレーが好きですので、結構ウケそうです
(『ひみつのカレーライス』井上荒野・作 田中清代・絵 アリス館 2009年)

4月3日(木) 復刊・『ぺにろいやるのおにたいじ』

恐ろしい鬼退治に、ぺにろいやるという小さな男の子が挑みます。
お腹がスンとなるような、なんとも言えない読後感です。「こどものとも初期の傑作」という文句に偽りなし、と思います。
絵もシュール。とっても私好みの本です。
(『ぺにろいやるのおにたいじ』ジョーダン・文  吉田甲子太郎・訳 山中春雄・画 福音館書店 2009年)

4月9日(木) 新刊・『しりとりのくに』

幼年童話です。しりとりのくにに迷い込んだカナちゃんのおはなし。子どもはしりとりが好きなので、楽しく読めると思います。イラストも、単純な絵のようで一味違ったかわいさがある好感の持てるイラストです。
近頃幼年童話はなかなかヒットがないのですが、ちょっと、いいかなと思えた本でした。
(『しりとりのくに』深見春夫・作 PHP研究所 1100円 2009年)

4月16日(木) 新刊・『どんなおと?』

音のでる本ではありません。表紙のオナラをしている絵に、思わず笑みがこぼれます。カラフルな切り絵風の絵がかわいいです。「世界中の目覚まし時計がなったらどんな音?」どんな音なんでしょう!ドキドキします。『おいしいおと』(三宮麻由子・作 ふくしま あきえ・絵 福音館書店 2008年)という本も最近出た音の本です。リアルな絵にリアルな音がいい。確かにそんな音がする。お腹がすきます。あかね書房の『おいしいおとなあに?』(さいとうしのぶ・作 2002年)も、楽しい本です。左が字で、右が絵なので、字の部分を隠したり絵の部分を隠したりして、どんな音かあてっこしながら読むと楽しいです。いずれもよみきかせがたのしい本です。
(『どんなおと?』tupera tupera・作 教育画劇 914円 2009年)

4月17日(金) 新刊・『ポップアップ絵本 ダヤンのたんじょうび』

ねこのダヤンシリーズが25周年を迎えるそうです。4月15日から21日まで、梅田阪神百貨店で絵本の原画展もやっているそうですよ。神戸の書店さんで、フェアをされてましたが、こんなにたくさん本が出ているとは知りませんでした。目がぐりぐりしていて、独特の世界観。切り絵の本や、スケッチの方法、料理本など、いろんなタイプの本が出ているのもおもしろい。奥深いワチフィールドの世界。
ポップアップ絵本は、25周年の記念出版みたいです。ボード版で、しかけも大きく、すてきな本です。音の出るページがあります。(電子音ではなく、紙のこすれる音で音を表現している。)
(『ダヤンのたんじょうび』池田あきこ・作 ほるぷ出版 2940円 2009年)

4月18日(土) 新刊・『オニロック』

よみものです。鬼の子どもが、人間界にやってきて、学校生活を送る、そしてロックと出会うというお話。最後に向けて若干尻すぼみ感はありますが、センスがよくて、今の時代に即している内容で、おもしろかったです。ロックも童話になる時代がきた!って感じです。ピザ屋でバイトしていて、欲しいギターを買うには「もっとピザーラお届けしなければなりません」って言っちゃうような、少し笑える文章のセンスもいい。漫画でいうと浅野いにおさんっぽい感覚です。登場人物が高校生くらいの年齢のお話ですが、字の多さは小学校中学年でも読めるくらい少ない、なので、対象がぶれてしまってると思います。誰が読むんだろう?と思うと、難しいかなあ・・・。でも、こういうイマ風のおはなしも、どんどん出てきて欲しいと思います。
(『オニロック』中村航・作 宮尾和孝・絵 JIVE 1500円 2009年)

4月26日(日) 第14回日本絵本大賞

山田養蜂場さんが主催している、絵本賞のフェアがぼちぼち店頭でも並んでいます。大賞はスズキコージさんの『ブラッキンダー』。書店さん曰く「ツウ好み」の本だそうですが、すごい世界観!サボテンとインクが一緒に旅をするなんて!色もグログロギラギラです。入賞作は他に、写真絵本『屋上のとんがり帽子』、モエ新人賞も受賞のあきびんごさんの『したのどうぶつえん』、静謐ということばがぴったりな植田真さんの『マーガレットとクリスマスのおくりもの』。『マーガレットとクリスマスのおくりもの』は、ちょっと今は時期ハズレですが、大人のクリスマスプレゼントにぴったりの美しい本です。クリスマスの定番になってほしいなと思う絵本です(まわしものです)。

4月26日(日) 新刊・『くさをはむ』

『わにばあちゃん』で、もものこメンバーの心をわしづかみにした、おくはらゆめさんの新刊です。しまうまのおはなし。しまうまが、草原で、ぽわわーんと、暮らしている、というおはなし。おはなし、というか、おはなしは無いです。そこがいいところ。「はむ」ということばが、ステキだなあと思います。表紙がちょっとおとなしいので、目立ちにくいですが、なごむ絵本です。
(『わにばあちゃん』おくはらゆめ・作 講談社 2009年)

4月29日(水) サイン会情報

『したのどうぶつえん』のゆるゆるのギャグがおもしろく、MOE新人賞や、絵本大賞など、ひっぱりだこの、あきびんごさんのサイン会が実施されるそうです。
☆5月31日(日)14時〜 喜久屋書店あべの子ども館にて(地下鉄、JR天王寺からすぐ、アポロビル二階)
ことばあそびのイベントのあと、あきびんごさんの絵本購入者にサインをしてくださるそう。参加無料とのことです。是非行きたいです。

4月29日(水) しばらくおやすみします

しばらくおやすみします。こちらに集中のため。

乾杯


劇団乾杯第10回公演「街街」

以前レクチャーに招いてくれた(本の楽しみにレポートがあります)、山本握微氏主催の劇団。エナミは制作での参加です。

「これは山本にぴったりだ」と思い、先日山本の誕生日に、絵本『ぜつぼうの濁点』を贈りました。
『ぜつぼうの濁点』という題名がなんとも秀逸です。ぜつぼうの「ぜ」についている濁点が、自分のせいでぜつぼうが絶望しているのだと思い悩み、ぜつぼうから離れて旅をする・・・というお話。
登場人物は全部「字」です。この絵本を好きな人は、劇団乾杯の舞台もツボにはまると思います。是非お立ち寄りください。


(『ぜつぼうの濁点』原田宗典・作 柚木 沙弥郎・絵 教育画劇 1300円)