本日のこどもの本・8月

注目の新刊やフェア、気になる本、児童書にまつわる話を、エナミを中心にメンバーが、つれづれ綴るコーナーです。

8月4日(火) 復刊・『ピカドン』

ももやまぶんこには、原爆や戦争の絵本を集めたコーナーがありました。戦争の話題はタブーだった家庭のため、私たち姉妹はももやまぶんこで、原爆や戦争の本を手にとって、戦争の恐ろしさを学んだ気がします。その中でも、強烈に記憶が残っているのは『ピカドン』という本です。この本は、アニメーションが元になった絵本です。原爆投下の少し前から、投下される瞬間を描いています。アニメだと一瞬ですが、ページをめくると、スローモーションのように絵が頭に残り、心に焼きつきます。本当に恐ろしい絵本です。
ももやまぶんこ引越しの際に、傷んでいたので廃本になりかけていたのを、私が引き取って、今は私の部屋にあります。先日本を買いに行った際に、妹が思い出したように「そうや、ピカドンの本を買わないと!」と言ったのには驚きました。妹にとってもあの本は特別な本のようです。
しばらく本屋でみかけなかったのですが、今年、ダイナミックセラーより復刊しました。
描写が過激な本ですが、この本を見ればどれだけ原子爆弾が恐ろしいものかわかります。読みつがれて いってほしい本です。
(『ピカドン』木下蓮三 木下小夜子・作 ダイナミックセラーズ)

8月4日(火) 新刊・『かわるかわるおうちでかわる』『かわるかわるおそとでかわる』

細長い、小さな絵本です。ずらりと並んだ女の子、左端には笑っている女の子の絵、右端には泣いている女の子の絵。感情や動作のグラデーションを表す絵本なのです。他には「高い⇔低い」「長い⇔短い」など。絵も親しみやすくてかわいいです。
(『かわるかわるおうちでかわる』『かわるかわるおそとでかわる』オームラトモコ・作 教育画劇)

8月4日(火) 新刊・『となりのおと』

となりの部屋から、いろんな音が聞こえてきます。めくるのが楽しいしかけ絵本。最後は王道ですが、暖かい気持ちになれる絵本です。
(『となりのおと』岡井美穂・作 岩崎書店)

8月4日(火) 新刊・『いちにちおもちゃ』

お片づけが嫌いな子がお片づけをするようになるように描かれた本だそうです。
子供が、おもちゃになっておもちゃの苦労を知る、という内容です。おもちゃの苦労を知ったからといって片づけをするようになるかといえば、散らかし子代表の私としては、ちょっと違うような気もしますが、しかし絵に魅力のある作家さんです。コミカルでちょっと不気味な感じもあって、味があります。楽しんで読める絵本です。
(『いちにちおもちゃ』かわしまななえ・作 PHP)

8月5日(水) 新刊・『本所ななふしぎ』

江戸時代の怖いお化けがたくさんでてくる絵本です。山本孝さんの絵が、結構コワーイ。池からニョキニョキ青白い手が出てくるえとか!小さい子だと泣いてしまうかもしれません。ほんとに怖いお化けが好きな子にはオススメです。
(『本所ななふしぎ』斉藤洋・文 山本孝・絵 偕成社)

8月10日(月) 新刊・『あかりをけすと』

お屋敷に住んでいる、ネコの家族。夜になり、さあ寝よう・・・と部屋のあかりを消すと・・・暗闇の中、いろんなものが生命をもって動き出す!絵がとてもかわいく、細部にわたって書き込まれてあります。あかりがついている部屋の様子と、暗くなってからの様子を見比べるのも楽しい。だから、よみきかせをするより、じっくり座って読みたい絵本です。最後にもギョっとします。
(『あかりをけすと』 こばやしゆかこ・作 学習研究社)

8月12日(水) 新刊・『獣の奏者』完結編

ついに、『獣の奏者』の新刊が出ました!3,4巻同時発売です。
以前に出た1、2巻で、充分完結したと思っていたのに、その続きが出るとは・・・。一体どんな展開になるのでしょうか。今から読むのが楽しみです。すでに1、2巻も単行本化しているので、是非読んでみてください。
(『獣の奏者3・追求編』 『獣の奏者4・完結編』上橋菜穂子・作 講談社)

8月20日(木) 『アンパンマン大研究』

先日京都に行った時に入った喫茶店で、おもしろい本をみつけました。「アンパンマン大研究」と題された、アンパンマン好きの学校の先生が、生徒からのアンパンマンについての質問に答えていく本です。「アンパンマンは顔を食べられて痛くないのですか?」「アンパンマンの脳はどこにあるのですか?」など、素朴な疑問が次々。理科の先生らしく、ファンタジーの世界ながらも、なるべく論理的であることを意識した答えがおもしろくって・・・。つい読みふけってしまいました。どうやら今は絶版のもよう。図書館で借りて読んでみてください。
(『アンパンマン大研究』やなせ たかし、 鈴木 一義 編著 フレーベル館 1998年)

8月24日(月) 新刊『チャレンジミッケ!6 こわーいよる』

いつまでも遊べる宝探し絵本、ミッケ!の新刊が発売されました。今回のテーマは「こわーいよる」。ちょっとホラーな感じです。いつも素敵で楽しい写真にうっとりします。ところで、以前のミッケ!のサイズより少し小さくなって発売されている、このチャレンジミッケ!のシリーズですが、以前のミッケ!と、どう違うのでしょうか?チャレンジというだけに、少し難しいのかな?そうは感じないのですが・・・誰か教えて!
(『チャレンジミッケ!6 こわーいよる』ウォルター・ウィック・作 糸井重里・訳 小学館)

8月28日(金) イベント・イタリア・ボローニャ国際絵本原画展

イタリア・ボローニャで、毎年開催される絵本の見本市、ボロ−ニャ・ブックフェアと同時に開催される、絵本原画コンクールの入選作品展が、西宮の大谷美術館で開催されています。日本人作家も多数入選しているそうです。絵本作家の最先端を見ることができます。
(西宮市大谷記念美術館 8月22日〜9月27日 水曜休館・ただし9月23日(祝)は開館、翌24日は休館 10時〜17時 金曜日は19時まで開館)

8月31日(月) 新刊『みさき』

内田麟太郎さんの講演会に行ってきました!詳細は後日の更新にて。
講演会でも紹介された新刊『みさき』についてご紹介します。少年が、汽船をみようと、みさきまで走っていくのですが、途中で雨が降ってきて・・・。少ないことばで構成されている絵本です。あえて汽船の「ボーウ」というような擬音を書き込まないのがいいです。音は聞こえないのに、汽船の気配はしっかりと感じられる。絵の力も強いです。日に焼けた寡黙そうな少年の、小さな優しさがじんわりと心に染みます。
偕成社から出ている『なつのいちにち』と味わいが似ています。こちらは森を駆ける少年です。こちらも、夏といえばの名作です。
夏の終わりに良い本に出会えました。
(『みさき』 内田麟太郎・作 さわだとしき・絵 佼成出版社 『なつのいちにち』はたこうしろう・作 偕成社)