本日のこどもの本・2009年1月
注目の新刊やフェア、気になる本、児童書にまつわる話を、エナミを中心にメンバーが、つれづれ綴るコーナーです。
1月5日(月) お正月の本
お正月の本で気になるのは、干支についての本です。いろんな出版社から出ていて、読み比べるのも楽しい。
スタンダードな福音館の『十二支のはじまり』(岩崎京子・文 二俣英五郎・絵 福音館 1997年)
新しいのは荒井良二さんがイラストを描いた『十二支のはじまり』(やまちかずひろ・文 小学館 2006年)
よみきかせで読みやすかったのは内田麟太郎さんの『十二支のおはなし』(山本孝・絵 岩崎書店 2002年)
私のイチオシ、大人におすすめなのは、ほるぷ出版から出ている『ね、うし、とら…十二支のはなし』(D・V・ウォアコム・文 エロール・ル・カイン・絵 辺見まさなお・訳) です。エロール・ル・カインさんの美しい絵柄を是非見てください。
追記・『十二支のはじまり』は福音館ではなく教育画劇でした。スミマセン。(1月8日)
1月6日(火) だるまさんシリーズ 新刊
かがくいひろしさんの「だるまさんシリーズ」に新刊が出ました。
その名も『だるまさんと』今回はいろんな果物とだるまさんがあんなことやこんなことを…。期待
を裏切らない楽しい内容です。読み聞かせで盛り上がることまちがいなし。
店頭ポップ(箱)も目立ってました。
(『だるまさんと』かがくいひろし・作 ブロンズ新社 2009年 893円)
1月8日(木) 獣の奏者、テレビアニメ明後日から
おすすめの本でも紹介している『獣の奏者』。明後日1月10日(土)18:25〜よ
り、NHK教育にてテレビアニメ放送が始まるそうです。
見たいけれど、見逃すのだろうなあ…。テレビ版にあたり、どんなアレンジがさ
れるのか、楽しみでもあり怖くもあります。想像するだけで息苦しい、とても辛
いシーンもありますし…でもカットしてほしくないし…。
原作も、文庫版の発刊が始まってます。是非手にとっ
てみてください。
(『獣の奏者<1>』(講談社青い鳥文庫) 上橋菜穂子・著 武本糸会・絵 2008年 609円)
1月9日(金) 新刊・『あーん あーん あーん』
文房具メーカーさんらしい切り口で絵本を出版しているコクヨさん。今度の新刊
は、コロボックルことたちもとみちこさんの『あーん あーん あーん』。
大きな口を開けてる動物の絵。巻末に食べ物のシールがついていて、動物さんの口
の中にぺたぺた…貼って、食べさせてあげられる絵本なんです。私も貼ってみたい
、と思ってしまう、楽しい絵本です。
(『あーん あーん あーん』たちもとみちこ・作 コクヨS&T株式会社 2008年 1050円)
1月10日(土) ぴーなっつ最中
土曜の今日は、こどもの本はお休みして、お菓子のはなし。千葉のお菓子らしいです。ぴーなっつ最中。
まるで絵本の中から抜け出たみたいにかわいい。味もおいしいですよ。
いつまでもこういう遊び心は忘れたくないものです。
獣の奏者、仕事で見れませんでした。残念。
1月12日(月) のぶみさんのエッセイ
以前はNHKのおにいさん(私は見てないので、どんな番組だったかは知りません)、最近は「しんかんくんシリーズ」などで人気のある、絵本作家の「のぶみ」さん。
ここ最近、二冊のエッセイを出されてます。おもしろかったのでご紹介します。
『夢って叶うじゃん』(のぶみ・作 主婦の友社 2008年 1155円)
今はやりの、イラストエッセイの形式。のぶみさん、イラストエッセイにむいてる!って思いました。のぶみさんが、いろんな「やってみたいこと」にチャレンジします。確かにあんなことやこんなこと、やってみたいよなーって思いました。ちゃんと実行方法も書いてあるので、私たちにもできます(資金さえあれば...)。特に「象の上にのる」のは、私もいつか挑戦してみたいです。
『「自分ルール」でいこう』(のぶみ・作 角川グループパブリッシング 2008年 1365円)
『夢って叶うじゃん』で、一番気になったのは、絵本作家になった経緯についてのページ。もっと詳しく知りたいなーと思っていたら、でました、この本。のぶみさんの半生が綴られています。のぶみさん=元ヤン、という印象があったのですが、なぜ不良になったのかまでは知りませんでした。この本には壮絶な幼少時代が原因としてあったことが描かれています。生まれたときから不良な人なんていないんだよね、と今更ながら実感しました。絵本作家になる道のりも険しく、イラストエッセイでは軽く書かれていることも、本当は大変だったことがわかります。
「夢って叶うじゃん・・・努力すればね」ということなんだなあ。
1月14日(水) 新刊・『なぜ戦争はよくないか』
『カラーパープル』で有名な、アリス・ウォーカーさん作の絵本です。美しい
世界が、戦争によって汚され、壊されていく姿が苦しい。
年末に本屋さんで何度か見たのですが、最近あまり見ません。やはり戦争の本は夏(終戦日周辺)がよく売れるのかなあ。
今この瞬間も世界のどこかでは戦火があがっているということ、忘れてはいけないと思います。
決して派手な本ではないけれど、ずっと読み続けられていく予感のする絵本です。
(『なぜ戦争はよくないか』アリス・ウォーカー・文 ステファーノ・ヴィタール・絵 長田弘・訳 偕成社 2008年 1260円)
1月15日(木) 新刊・『はじめてのにほんちずえほん』『はじめてのせかいちずえほん』
『はじめてのにほんちずえほん』は、日本の各地の情報や名産物、『はじめてのせかいちずえほん』も同じく世界の国々の特徴や洋服、食べ物や自然などについて、とってもすてきなイラストで描かれています。
とにかくイラスト、デザイン、色彩がかわいい!見ているだけで楽しい気分になれます。
こどもだけではなく、大人も楽しめて、ためになる、プレゼントにも喜ばれるのではないでしょうか。
トダデザインさんの学習絵本シリーズを見たとき、シンプルでスタイリッシュなデザインに、はっとしましたが、この本も、センスの良さにはっとさせられる絵本でした。(ほめすぎたかも)
(『はじめてのにほんちずえほん』『はじめてのせかいちずえほん』てづかあけみ・絵 ピエブックス 2008年 1890円)
1月16日(金) 『チョコレートアンダーグラウンド』映画化
『チョコレートアンダーグラウンド』が、アニメ映画化されるそうです。って、知らないのは私だけでしょうか。テレビCMやってるのかな・・・テレビを見ないからか?私は全然知りませんでしたが、1月31日に公開だそうです。
『チョコレートアンダーグラウンド』は2004年に求龍堂から発売されているよみものです。
内容は、チョコレートを食べることが禁止された世界で、こどもたちがチョコレートを取り戻すために闘う・・・という話です。分厚いけれど、読みやすくてすぐ読めてしまいます。
チョコレートを、自由や、権利なんかと置き換えて読むと、ぐっとくるものがあります。原作は一読の価値ありです。
映画ですが、絵が「アニメ!」って感じで、個人的にはちょっと残念かもしれない。
(『チョコレートアンダーグラウンド』アレックス・シアラー・作 金原瑞人・訳 求龍堂 2004年 1260円)
1月19日(月) おもしろい本・『めでたしめでたしからはじまる絵本』
この本を初めて見たときは「やられた!」って思いました。この絵本は題名の通り、「めでたしめでたし」からはじまって「むかしむかしあるところに」(うろ覚え)で終わるのです。
映画「メメント」ばりに記憶が逆行!その手法が何よりおもしろい。でも、一回読んだだけではわからないので、よみきかせには向かない・・・。もうちょっとわかりやすいと良かったかもしれないです。
一人でページを行ったり来たりして、ムフフと笑いながら読むのがおすすめです。
(『めでたしめでたしからはじまる絵本』デイヴィッド・ラロシェル・作 リチャード・エギエルスキー・絵 椎名かおる・訳 あすなろ書房 2008年 1260円)
1月22日(木) 新刊・『くまのがっこう ジャッキーのたからもの』
くまのがっこう、新刊です。ブロンズ新社だけに…表紙がブロンズ色。書店でも
ひときわ輝いていました。お話の内容は…表紙が全てを物語っています。もう少しひねりがあってほしかったなあ。
いつもながら、色づかいの素敵な絵本です。
(『くまのがっこう ジャッキーのたからもの』あいはらひろき・作 あだちなみ・絵 ブロンズ新社 2009年 1365円)
1月23日(金) 新刊・『おやおや、おやさい』
コーナーを作って、1カ月もたたないうちに、何を書いていいのかわからなくなってしまってます。
こんな時に頼りになるのが、やっぱり書店さん!今日は加古川の書店員さんに本を教えてもらいました。
石津ちひろさんと山村浩二さんの新刊『おやおや、おやさい』です。『くだものだもの』では、とぼけた表情のくだものたちが海水浴していましたが、今回は冬らしく(?)、やさいたちがマラソンをします。
今回もことば遊びいっぱいで、楽しい作品です。
山村さんの映像作品も、とてもおもしろいです。落語を題材にした「頭山」で有名ですが、他の小品もすてきです。バベルの本がお気に入りです。弟がかわいいのです。
(『おやおや、おやさい』石津ちひろ・文 山村浩二・絵 福音館書店 こどものとも年少版2009年1月号)(DVD 「頭山」山村浩二作品集 ジェネオン・エンタテインメント 2006年)
1月26日(月) 季節の本・節分の本
「年々季節を題材にした絵本が増えていく気がする・・・」と、書店員さんがつぶやいていました。確かに、今、節分をはじめとする、おにの絵本がアツイです。店頭でおにたちが大賑わいです。
私は、おはなし会でも読んだ『ふくはうち おにもうち』が好きですが(善悪逆転モノの話によわい)、今年出た『狂言えほん せつぶん』(もとしたいづみ・作 野村たかあき・絵 講談社 2009年)も気になります。よみきかせをするとき、日本の文化を伝えるような本も読みたいなと思うので、狂言を元にしたこの本はいいかも!と思っています。
行事の由来を伝えるには『せつぶんだ まめまきだ』(桜井信夫・作 赤坂三好・絵 教育画劇 2000年)や、『なぜ、せつぶんに豆をまくの?』(国松俊英・作 藤田勝治・絵 童心社2001年)あたりが最適かと思います。
幼稚園で読むのには、ようちえんを舞台にした季節絵本シリーズから『ぼくもうなかないぞ』(寺村輝夫・作 いもとようこ・絵 あかね書房 1985年)がおすすめです。
去年のこの時期、よみきかせで『ないたあかおに』(浜田廣介・作 池田龍雄・絵 偕成社 1965年)を読みました。長いし、ちょっとだれたかなあ?と思っていたのですが、意外と心に残った絵本にあげてくれた子が多くて、驚きました。いいおはなしは、長くてもちゃあんと聞いてもらえるのですね。読んでるうちに自分がだれてたということに、反省。『ないたあかおに』も各社から出ているので、読み比べてみたいなあ。
1月27日(火) 新刊・『ハルコネコ』
パステルカラーの色合いが、春を感じさせる新刊です。弟にばかり構うお母さん
に腹をたてたハルコは、ネコになることに決めるのですが…。
最後のお母さんのセリフから、語らずにラストにもっていく書き方がうまいと思
いました。私はついつい「そのときハルコの魔法が溶けて、なんとなんと!」と説明が
多くなってしまうので…。シンプルでも、しっかり伝わる絵本です。
(あおきひろえ・作 教育画劇 2009年)
テーマが似ている本を2冊
『ちょっただけ』(瀧村 有子・作 鈴木 永子・絵 福音館2008年) こちらも文章が秀逸でした。
『ねえ、だっこして』(竹下 文子・作 田中 清代・絵 金の星社 2004年) ネコが主人公ですが、妹を持つ姉の気持ちをしっかり代弁してくれていて、キュンときます。
1月28日(水) 早くしてください
音のなる絵本はどんどん進化していて、拡声器のように自分の声が大きくなる機
能がついたものもあります。
先日児童書売り場で、電車の音がなり、駅員気分を味わえるマイクがついた絵本で夢中になって遊んでいる子がいたのですが、その子、マイクに向かって、「早くしてください、早くしてください、
早くしてくださ〜〜い!」とひたすら叫んでいました。一体何が・・・。
母がとめにはいるのも構わず、必死の形相で叫び続けていました。店内にはその子の「早くしてくだ
さい!」が響きわたっていました。
むちゃくちゃおもしろかったけど、もしかしたら普段言われてるのかなあ、といらぬ心配をしてしまったり。