本日のこどもの本・2009年6月

6月6日(土) 新刊・『ねこさんかぞくの みどりのカーテン』

ねこの家族が緑のカーテンを作ります。緑のカーテンとは?絵本を読むとわかります。絵本のとおりにすると、実際に自分の家にも緑のカーテンが作れるようになっています。マンション住まいには難しいですが、いつかこんな緑のカーテン作れたらなーと、夢が膨らみます。お話を楽しむというより、実用的な側面の大きい絵本です。古いようで新しい内容、最近なかったな、こういう本、と思いました。
(『ねこさんかぞくの みどりのカーテン』 津田直美・作 ブロンズ新社 1470円)

6月6日(土) 新刊・『ぱら ぴた ぽん』

書店の方に「おすすめ」と教えてもらった本。なるほどすてきな本だ!って思ったんですが、説明が難しい。実物をみたら絶対すぐわかると思うんですが・・・。1ページに1匹の動物の絵が描かれています。例えばうさぎ。ページは真ん中で二つに切れていて、下のページを「ぱら」とめくると、違う動物の体が出てきて「ぴた」っと、頭はうさぎで、胴体はうし!?みたいな、変な動物が「ぽん」とできあがり。名前も、「うさし」とかへんてこ。昔からあるしかけですが、ページの裏も凝っていて、必ず子供をおんぶしているんですよ。名前も変なんだけどありそうな名前になっちゃうところがおもしろい。百聞は一見にしかず、ですので、本屋さんで見てみてください。
(『ぱら ぴた ぽん』 ラウラ・スタニョ・作 PHP研究所 1890円)

6月6日(土) 新刊・『あっぱれ!てるてる王子』

ひさしぶりの更新です。雨降る季節にぴったりの新刊がでています(正確には、台風大王が出現するので、秋口かな?)。てるてる王子VS台風大王の繰り広げる、なんともユル〜イ戦い!たくさん描きこまれているので、何度みても楽しめる良さもあります。講談社絵本新人賞受賞作です。
(『あっぱれ!てるてる王子』 コヤマスカン・作 講談社 1575円)

6月8日(月) 新刊・『切り紙のじかん わたしのかえり道』

ほとんどの絵が切り絵で出来ている絵本です。雨降りの帰り道のお話。雨の絵を描くとき、つい、水色や、青色を使ってしまいますが、この本を見れば、雨は青色だけじゃないってことがわかります。いろとりどりの、きらきらひかる、雨のしずく。楽しい気分でいっぱいの本です。巻末には、切り紙の作り方ものっていて、すぐに作ることができる。そこも、この本の魅力です。
(『切り紙のじかん わたしのかえり道』 矢口加奈子・作 秋田書店 1260円)

6月10日(水) 新刊・『いそっぷのおはなし』

9作のイソップ童話が薄い絵本におさめられています。ありときりぎりすを200文字で語りきってしまう木坂さんの文章力!よくばりな犬の、にくたらしい顔!絵のみでしっかり魅せる大胆なページもあり、降矢さんの魅力も存分に味わえます。
よく知っているイソップ童話なのに、初めて読むような感動を感じました。一冊の絵本作品としての完成度が非常に高いと思います。300円くらいで買えてしまうイソップの絵本もあるけれど、こういう本を子どもと一緒に読みたいなと思います。
(『いそっぷのおはなし』 木坂涼・作 降矢なな・絵 グランまま社 1680円)

6月11日(木) 新刊・『パパとあたしのキャンプ』

『ちょっとだけ』の鈴木永子さんの新刊です。お父さんと、あこちゃんという小さな女の子が二人でキャンプに行くお話です。
キャンプ場所に着いて、せっかく用意したおにぎりを忘れたことに二人は気付きます。そうそう、現実の世界では、こんな風に大切な場面で忘れ物をしてしまうことって、結構ある。そんなピンチの時でも、お父さんはのらりとかわし、あこちゃんも「かにぱん持ってきたからあげる」って言います。そのシーンだけで、ほっとして泣きそうになってしまいました。
どうやら二人は「二人家族」のようです。きっといろいろ大変なこともあるだろうけれど、この二人なら穏やかに乗り越えていけるのだろうなと思います。同じような環境の家庭の方を、勇気付けてくれる一冊だと思います。
(『パパとあたしのキャンプ』 鈴木永子・作 ひさかたチャイルド 1260円)

6月18日(木) 新刊・『こんた、バスでおつかい』

『こんたのおつかい』の第二弾。今度はバスで、おじいちゃんおばあちゃんの家まで、いなりずしを届けに行きます。ちゃんと行けるのかな?田中さんの描くおばけの絵は、ページをとびださんばかりの迫力で、しかもちょっと愛嬌があって、魅力的です。既刊『こんたのおつかい』と併せて読んでみて下さい。
(『こんた、バスでおつかい』 田中友佳子・作 徳間書店 1470円)

6月18日(木) 新刊・『わにわにとあかわに』

シュールな「わにわに」シリーズの新刊です。わにわにの家に、小さなあかわにのお客様がやってきます。わにわには、あかわにが気になってしょうがない。最後のページのわにわにが哀愁漂ってます。
(『わにわにとあかわに』 小風さち・分 山口マオ・絵 福音館書店 410円)

6月22日(月) 新刊・『ほんちゃん』

真っ赤な背景に目と口がついている表紙の本です。そして、この本が主人公の本です。立派な本になるにはどうしたりいんだろう?立派な本ってなんだろう?最近人気のある音の出る本に対する皮肉もちょっとはいっています。
(『ほんちゃん』スギヤマカナヨ・作 偕成社 1050円)

6月24日(水) 新刊・『きらいさきらい』

中川ひろたかさん&工藤ノリコさんの新刊!最強タッグ?
「きらい」なんてマイナスなことばは、言いにくい。特に子供の本では、こういうマイナス思考は避けて通られている気がします。でも何かを「きらい」って思ってしまう気持ちは、誰にでもあるもので、この本は「きらい」な気持ちをあけっぴろげにして、ユーモアを交えて、マイナス思考全開で語られます。とにかく「きらい」で、その気持ちは最後まで解決されることはありません。児童書のタブーを破る絵本だーと思いました。ギラギラと輝く「KIRAISA KIRAI」の文字に大爆笑(あ、でもこのローマ字はさすがに子供には読めないかな)。マイナスを笑いに転化しているところが、良いかも。
(『きらいさきらい』なかがわひろたか・作 工藤ノリコ・絵 理論社 1155円)

6月24日(水) イベント・ミヒャエル・ゾーヴァ展

JR京都駅に隣接の伊勢丹内にある美術館「えき」KYOTOにて、ミヒャエルゾーヴァ展が7月12日までやっています。ゾーヴァといえば、映画「アメリ」の絵で有名ですが、展覧会にいって、改めてそのおもしろさに気付きました。ユーモアがあって、その裏に狂気も隠されています。すっかりはまってしまいました。子供向けの本の挿絵も多く描いていて、今後もっと翻訳されたらいいなあと思いました。おすすめの展覧会です。

6月26日(木) 絵本のイベント

夏休みに向けて、絵本に関するイベントのご紹介です。
『太田大八とえほんの仲間たち展』
時・6月20日(土)〜8月30日(日)
所・佐川美術館(滋賀県!)
太田大八さん始め、長新太さんや西巻茅子さん和歌山静子さん田島征三さんらの 絵本原画が大集合!
7月24日には西巻茅子さんの講演、25日は太田大八さん、浜田桂子さん、西巻茅子 さん、いわむらかずおさんの対談、田島征三さんの講演があるそうです(要申込) 。
大阪からは、ちょっとした小旅行なくらい遠いですが、楽しそうな展覧会です。

『こどもの本ブックフェア2009』
時・7月20日〜22日
所・京都市勧業館第2展示会場
メインは本の展示会ですが、特設会場にて随時おはなし会などイベントがあります 。
目玉は、7月20日 14時〜の、ねずみくんシリーズでお馴染みのなかえよしおさん・上野紀子さんのおはなし会。