本日のこどもの本・2009年10月11月

注目の新刊やフェア、気になる本、児童書にまつわる話を、エナミを中心にメンバーが、つれづれ綴るコーナーです。

10月5日(月) 新刊・『ゴリララくんのコックさん』

ゴリララくんは、ちくわが本当に好きで好きでたまらないのです。そんなゴリララくんが営むレストランでは、ちくわのアレンジ料理が次々でてきます。好きでたまらないという気持ちがあふれ出ている絵本です。子ども時代、好きなものにすごく執着する瞬間があると思います。そんな気分が伝わる本です。
(きむらよしお・作 絵本館)

10月5日(月) 新刊・『かいじゅうくん』

おうちで留守番している男の子。お父さんは「誰がきてもドアをあけてはいけないよ!」って。でも、かいじゅうくんがやってきて、「ドアをあけろ!」って言う・・・。ドアをあけたらどうなってしまうか?男の子の想像がおもしろいです。そして最後はくすりと笑えます。危機管理と冒険の微妙なバランスを考えると、ラストは私の中でも賛否両論。皆さんはどう感じますか?
(クラウゼ・ウテ・作 荒川みひ・訳 ブロンズ新社)

10月5日(月) 訃報・かがくいひろしさん逝去

『だるまさん』シリーズで大人気の、かがくいひろしさんが、9月28日死去されたそうです。54歳でした。絵本の世界では、MOEの「新人賞」を受賞したばかり。独特のユーモアあふれる世界観をもっていらっしゃる方で、もっともっとその世界を見せていただきたかったです。ご冥福をお祈りいたします。

10月8日(木) 新刊・『パノラマせかいりょこう』

どこまでもながーく繋がる絵本です。いろんな国の風景とあいさつのことばが知れる、世界一周2メートルの旅ができます。絵は、てづかあけみさん。モルヴァンや、サヴィニャックのような、ヨーロッパの昔の広告を思わせる、おしゃれなイラストです。私は知人のお子さん(もうすぐ3歳)へのプレゼントにするつもりです。
(『パノラマせかいりょこう』てづかあけみ・作 コクヨ)

10月8日(木) 新刊・あけてあけてえほん『ひきだし』

先日おはなし会で、ナガヤが『れいぞうこ』という、おもしろい絵本を読んでいました。四角い形をした絵本が、そのまま冷蔵庫の形になっていて、絵本を開くと冷蔵庫の中が見えるという絵本です。他にも『おしいれ』が同時に発刊されたていたのですが、今回は『ひきだし』『おふろ』が出ましたよ。何が出てくるか、どきどきわくわく、絵がほんわかしていて、楽しい絵本です。赤ちゃんから楽しめると思います。
(『ひきだし』『れいぞうこ』『おしいれ』『おふろ』新井洋行・作 偕成社)

10月8日(木) 新刊・『まんまるおつきさん』

空を見上げると、まんまるおつきさま。じっと見てると、美味しい何かに見えてきますよ・・・・!思わずお腹がぐうっとなっちゃうような美味しそうな絵本です。さいとうしのぶさんのイラストがぴったり。この季節の、赤ちゃん向けのよみきかせにぴったりです。
(『まんまるおつきさん』ねじめ正一・作 さいとうしのぶ・絵 偕成社)

10月20日(水) イベント・絵本ワールドin兵庫

11月14日〜15日、神戸海星女子学院大学で、絵本のイベントが開催されます。絵本展や講演会など、楽しい催しになりそうです。

14日13時30分より長野ヒデ子さん講演会とサイン会
15日13時30分より角野栄子さん講演会とサイン会
場所 神戸海星女子学院大学(阪急王子公園駅かJR灘駅より徒歩13分)

申込方法
〒650‐8571
神戸新聞社広告局業務推進部
絵本ワールドC係

葉書に、住所、氏名、年令、電話番号、参加人数(葉書一枚に五名まで)、希望プ ログラムを明記の上、送付。 ファックス0783617802でも受け付け。

人形劇団クラルテの公演もあるようです。
詳しくは絵本ワールドin兵庫で検索してみてください。

10月20日(水) 新刊・『袋鼠親爺の手練猫名簿〜ポサムおやじのてれんねこめいぼ』

ノーベル賞詩人T・S・エリオットが「ポサム親爺」の名で書いた、猫たちの詩。内容はパラパラとしか見ていないのですが、まず表紙の猫のイラストがかわいくおしゃれ、ネコ好きには眺めているだけで楽しい本だと思います。ミュージカル「キャッツ」の原作だそうです(「キャッツ」のストーリーは正直イマイチだと思う!)。解説本も近々出るようです。
(T・S・エリオット・詩 アクセル・シェフラー・絵 柳瀬尚紀・訳 評論社)

10月23日(金) 新刊・『おふとんかけたら』

おふとんって本当に気持ち良い!ふわふわでぽかぽかで・・・。表紙のソフトクリームが布団を被っている絵にまず爆笑!ソフトクリームにお布団かけたら、どうなってしまうんでしょうか?とても楽しい絵本です。よみきかせでうけること間違いなし!先日逝去された、かがくいひろしさんの新刊です。かがくいさんは、お布団が好きだったのかなー?他にも、布団が登場人物の『まくらのせんにん さんぽみちの巻』という絵本があります。
(『おふとんかけたら』かがくいひろし・作 ブロンズ新社)

10月23日(金) 新刊・『すてきなルーちゃん』

お母さんの妹のルーちゃんは、とっても楽しくて素敵な絵描きのお姉さん。ルーちゃんがしてくれた、小さなおはなし・・・。読み物なので、まだパラパラとしか見ていないのですが、親戚や近所のお姉ちゃんがいろいろ教えてくれる話って、すごく好きなんです・・・。家族とはちょっと違う視点で、世界を見せてくれる・・そんな気がします。作者のたかどのほうこさんは、つんつくせんせいで人気ですが、私が最近気になっているのは『みどりいろのたね』(福音館書店)という幼年童話。大分前の本なのですが、色が緑と黄色でモダンな感じ。おはなしもへんてこりん。(よく見ると、文がたかどのほうこさんで、絵が太田大八さんでした!)こちらもおすすめしたいです。
(『すてきなルーちゃん』たかどのほうこ・作 偕成社)

10月23日(金) 新刊・『ピヨピヨもりのゆうえんち』

工藤ノリコさんのピヨピヨシリーズの新刊が出ました。今回は、ピヨピヨ家族、お弁当をもって、遊園地へ出発!いろんな乗り物にのって、お弁当を食べて、楽しい一日を過ごします。ちょっと絵探しのような要素もあって、すてきな仕上がりです。
(『ピヨピヨもりのゆうえんち』工藤ノリコ・作 佼成出版社)

10月29日(木) 新刊・『おねえちゃんは、どこ?』

おねえちゃんのことが大好きなネズミの男の子。でも、お姉ちゃんはどこかに行ってしまったみたい。お姉ちゃんを探す旅に出発です・・・。作者が「ストーリーより先に絵ができた」と後書きで語っているるように、絵の素晴らしさが際立つ絵本です。創造力に満ち、細かいところまでしっかり描きこまれた奇想天外な絵が、いつまでもみていたいほど楽しいです。子どもと一緒にひらいてじっくり絵を楽しみたい絵本です。
(『おねえちゃんは、どこ?』スヴェン・ノルドクヴィスト・作 石井 登志子・訳  岩波書店)

11月19日(木) 新刊・『ちか100かいだてのいえ』

私事でバタバタしており、すっかりホームページをほったらかしにしてしまっていました。
本屋さんでは魅力的な新刊がぞくぞく出ている・・・はず。のりおくれています!
まずは、『100かいだてのいえ』シリーズの新刊。ついに出ました、地下100階建ての家!下に下にもぐっていくと、一体誰がまっているのでしょうか?本の開き方も、地上とは逆向きに開いていくのです。こだわってる!と思います。今は『100かいだてのいえ』と並べて置いている本屋さんも多いので、見比べてみて下さい。 (『ちか100かいだてのいえ』いわいとしお・作 偕成社)

11月19日(木) 新刊・『ふゆですよ』

金の星社からシリーズで登場中の四季の絵本。今度は冬です。なんといっても、今回は絵が降矢ななさんというところに注目!表紙の、おさるさんがお風呂に入っている絵からも想像できるとおり、どのページも降矢さんの独自の視点で描かれた冬の風景です。すてきな絵描きさんはすてきな「目」をもってるんだなあ、ってしみじみ思います。よみきかせにも良いシリーズです。
(『四季のえほん ふゆですよ』 柴田晋吾・作 降矢なな・絵 金の星社)

11月19日(木) 新刊・『ギフト版 12月24日 クリスマス・イブの日に』

1994年に発刊された黒井健さんの『12月24日』がギフト版になって登場です。版型や表紙絵が以前のものから変わっているそうです。クリスマスの日、サンタさんがプレゼントを配りに行くまでの準備の様子が、しっとりとした絵で描かれています。福音館の『さむがりやのサンタ』とは、また違った味わい。いろんなサンタさんがいる、それがいいんですよね。
(『ギフト版 12月24日』黒井健・作 白泉社)

12月31日(木) ことしもおしまい

ちょうど一年くらい前に、「絵本が好きだから、絵本が売れてほしい。売れなくなったら、その本はなくなってしまうから。」と、ある人がおっしゃったのを聞き、自分もこどもの本を手にとってもらうきっかけ作りをしたいと思ったのが、このページの始まりでした。
仕事柄、毎日書店に顔を出している私ですが、毎月ほんとうにたくさんのこどもの本が出て、すべて把握することはとてもできないし、良い本が出ても気付けないこともしばしばです。こんなにもたくさんの本が出ては消えていくという状況は、決して良いことではないと思います。
でも、こどもにも、おとなにも、絵本を始めとするこどもの本は必要です。私たちもものこのメンバーも、この一年間、いろんな場面で絵本に笑顔をもらったり、勇気付けられたりしてきました。
自分の鑑賞眼にはあいかわらず自信がないのですが、絵本を読んで、あれこれ考える時間はとても楽しかったです。
2010年も、少しずつですが、絵本を紹介していきたいと思います。よろしくお願いいたします。